AUDIOLOGY JAPAN
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「人工内耳装用児の就学後の問題点と対策」「後迷路性難聴」
人工内耳装用学童児の聴き取り能力における教室音環境の影響
森 尚彫伊藤 壽一平海 晴一山口 忍柴田 尚美松井 理直山本 典生坂本 達則岩井 詔子小島 憲松本 昌宏扇田 秀章
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2012 年 55 巻 2 号 p. 138-145

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抄録

人工内耳 (以下CI) 装用学童児5例の騒音下における語音聴取検査と小学校1年生の教室の環境音調査の結果から, 通常学級において, 教室の音環境がCI装用児の聴き取りに与える影響について検討し, 以下の知見をえた。
1. CI装用児が騒音下で, 静寂時と同等の聴き取りを得るためには, SN比が+15dB以上あることが望ましいと考えられた。
2. 通常学級における, 先生の声と環境音とのSN比は平均7.3dBで, CI装用児にとって聴き取りが困難な音環境であることが示唆された。
3. 机や椅子へのテニスボールの装着は環境音の抑制に効果があることから, 教室の環境を改善することによって, 通常学級の環境音を抑えることが必要であると考えられた。
4. 教室設備の整備やFM補聴システムの活用等によるソフト面の改善によって, 教室の音環境を改善し, SN比を向上させていくことが重要であり, そのためには, 教育機関と連携し, 総合的な対策をとっていく必要があると考えられた。

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© 2012 日本聴覚医学会
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