肺癌
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症例
10歳代に発症した若年者肺癌の2切除例
西川 敏雄兵頭 剛木村 幸男森 雅信上川 康明井上 文之
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キーワード: 若年者肺癌
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2012 年 52 巻 6 号 p. 908-912

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抄録

背景.若年者,特に10歳代の肺癌切除症例は稀である.症例1.16歳,女性.1998年9月咳嗽および胸痛を主訴に近医を受診し,胸部単純X線検査で異常陰影を指摘された.CT検査では右肺下葉に38×36 mmの腫瘤を認め,肺門および縦隔リンパ節の腫大を認めた.気管支鏡検査では右B8内腔およびB9+10の入口部に腫瘤を認め,生検にて扁平上皮癌と診断された.他臓器に転移を認めず,右中下葉切除およびリンパ節郭清を行い,低分化扁平上皮癌,T2N2M0 stage IIIAと診断された.術後21日目より化学療法を施行された.症例2.14歳,男性.2011年9月肺炎のため入院し,その際のCT検査にて右肺S10に12×10 mmのGGOを認めた.経過観察を行うも変化を認めず,手術を施行した.術中迅速病理検査にて腺癌と診断され,右下葉切除およびリンパ節郭清を施行した.術後病理検査では細気管支肺胞上皮癌,T1aN0M0 stage IAと診断された.結論.若年者,特に10歳代においても肺癌が発症する可能性があることを考慮する必要があると考えられた.

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© 2012 日本肺癌学会
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