症例は36歳,女性.2009年1月検診での胸部異常陰影にて当院初診となった.CT上,右中葉に境界明瞭な腫瘤を認め,PET-CT検査ではSUV 5.71とFDGの高集積を認めた.気管支鏡検査では右B5内腔に腫瘤を認めたが生検および洗浄細胞診では確定診断には至らなかった.悪性腫瘍を疑い手術を勧めたが,同意が得られず経過観察となった.同年10月になり手術に同意されたため施行したところ腫瘤は中葉支根部に存在し下葉への浸潤も疑われたため中下葉切除およびリンパ節郭清を施行した.腫瘤は2.5×1.7 cmでB4, B5間に存在し,気管支腺由来で一部ポリープ状に気管支内腔に突出していた.組織学的には上皮成分と非上皮成分が混在し,上皮成分は管状腺管の形成や嚢胞形成,また非上皮成分は紡錘形あるいは星芒状の細胞が疎に増殖し粘液状を呈するといった多彩な像を呈しており,多形腺腫との診断であった.以後再発や異常は認めず現在も経過観察中である.