日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肋骨と胸椎の骨破壊を伴った胸壁神経鞘腫の1例
福田 祐樹井上 慶明青木 耕平儀賀 理暁江口 圭介中山 光男
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キーワード: 胸壁神経鞘腫, 骨破壊
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2012 年 26 巻 7 号 p. 782-786

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抄録

原発性胸壁腫瘍はその発生母地の多様性から組織学的に多彩であり典型的な画像所見を呈することは少なく,また経皮的針生検による正診率が低いことから治療前に疾患の鑑別を行うことは困難な場合が多いとされる.今回我々は胸壁に発生し肋骨及び胸椎横突起の骨破壊を伴い悪性病変が疑われた神経鞘腫の1手術例を経験したので報告する.症例は72歳女性.咳,喀痰を主訴に前医を受診,胸部CTにて左背部胸壁に5 cm大の腫瘍を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.腫瘍は左背部胸壁第4肋間を主座として左第4, 5肋骨と第4胸椎横突起の骨破壊を伴う内部やや不均一な腫瘤で,経皮針生検を施行したが確定診断には至らなかった.画像所見より悪性胸壁腫瘍を疑い手術を施行.腫瘍が脊柱管に近接しており整形外科と協力し後方アプローチで腫瘍を摘出した.病理組織学的検査で骨破壊を伴う胸壁神経鞘腫と診断された.

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