2011 年 36 巻 5 号 p. 877-883
症例は60歳,女性.右背部痛を主訴に近院を受診した.後腹膜腔から下大静脈内に広範囲に進展する腫瘤性病変を指摘されたため,当科へ紹介された.その他,CTで肝S3,S6に1.0cm大の腫瘤を認めた.後腹膜腔に発生した非上皮性腫瘍,下大静脈内進展,肝転移疑いと診断し,下大静脈合併後腹膜腫瘍切除術と肝S6腫瘍の生検を施行した.病理組織学的所見から後腹膜平滑筋肉腫,下大静脈内進展,肝転移と診断し,肝転移巣に対してRFAを施行した.その後,新規の肝転移,肺転移,腹膜転移を認めたため,これらに対してRFAを繰り返し施行した.しかしながら,その後も多発転移を認めたため,全身化学療法としてCYVADIC療法およびdocetaxel/gemcitabine(DG)併用療法を施行した.術後48カ月目に永眠された.根治には至らないものの,集学的治療により比較的長期間にわたり腫瘍の増大抑制効果が得られた.