日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患児においてミゾリビンが著効しなかった要因は何か?
詫間 章俊阿部 祥英冨家 俊弥日比野 聡星野 顕宏齋藤 多賀子三川 武志櫻井 俊輔渡邉 修一郎佐藤 均村山 純一郎板橋 家頭夫
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2012 年 25 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

 ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を発症した3歳女児の治療に免疫抑制薬,ミゾリビン (MZR) を9.5mg/kg/日で投与したが臨床効果が得られず,最高血中濃度 (Cmax) も1.07μg/mlと低値であった。その要因を検討した結果,見かけ上の分布容積 (Vd/F) は5.97l/kg,尿中排泄率 (fu) は17.4%であり,真の分布容積 (Vd) は1.04l/kgであることが判明した。Vd値はMZRが水溶性薬物であることと矛盾せず,MZRの吸収不良が有効な血中濃度に到達しなかった要因と判断された。MZRのfuは生体内利用率あるいは吸収率に相当するパラメータと考えられ,fuが小さい時はVd/Fが著しく大きく算出される。本症例のようにVd/Fが高値あるいはCmaxやfuが低値の場合にはMZRの吸収不良を背景に高用量のMZRでも有効血中濃度を得られない可能性が示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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