日本臨床外科学会雑誌
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症例
内膀胱上窩ヘルニアの1例
赤池 英憲三井 文彦國友 和善千須和 寿直宮澤 正久巾 芳昭
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1263-1268

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抄録

症例は70歳,男性.嘔気と心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診.腹部X線写真でイレウスと診断された.開腹歴はなく,イレウスの原因検索のためCT検査を施行.CT上,左下腹部に小腸がループ様にみえる箇所を認め,膀胱は軽度圧排されていた.内ヘルニアによるイレウスが疑われたが,確定診断には至らなかった.患者本人が保存的加療を強く希望されたため,イレウス管を挿入し保存的に経過を観察した.しかし,イレウスの解除には至らず準緊急に開腹手術を施行した.手術所見にて,膀胱上窩への小腸の嵌頓を認め内膀胱上窩ヘルニアと診断した.内膀胱上窩ヘルニアは極めて稀な疾患であり,疾患自体があまり認識されていない.術前診断は困難であるとされているが,疾患に対する十分な認識があれば,特徴的なCT所見により診断可能であると思われる.今回われわれは,特徴的なCT所見を示していた内膀胱上窩ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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