日本臨床外科学会雑誌
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症例
大網裂孔ヘルニアによるイレウスの1例
碓井 麻美一瀬 雅典嶋尾 仁竹田 明彦深澤 公朗松原 久裕
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2012 年 73 巻 1 号 p. 143-147

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抄録

今回われわれは,大網裂孔ヘルニアによるイレウスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は40歳,男性.2010年6月に腹痛と嘔吐で当院受診.造影CT検査では腸管拡張および胃の背側に嵌り込んでいるような腸管を認め,腸閉塞の診断でイレウス管を挿入した.保存療法では改善が認められず手術を施行したところ,小腸が大網の裂孔より網嚢に入り込み,ゴルフボール大に嵌頓している状態であった.嵌頓部分を含めて小腸を部分切除し,裂孔部を広く切開して網嚢腔を大きく開放した.大網裂孔ヘルニアは比較的まれな疾患であるが,手術歴のない腸閉塞の際には本症も念頭に置く必要があると思われた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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