日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
ISSN-L : 1883-1273
シンポジウム 伝導障害におけるサルコイドーシスの位置づけ
伝導障害におけるサルコイドーシスの位置づけ
草野 研吾
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 31 巻 1 号 p. 63-65

詳細
抄録

心サルコイドーシスでは,His-Purkinje系と固有心筋の2つに伝導障害が発生する.前者が房室ブロック,後者が心室頻拍として臨床的に認められる.今回,心内伝導障害について,心内電位の検討・病期との関連・ステロイドに対する反応についての自験例多施設アンケート結果(中間解析)について報告した.心内電位の検討では,心室頻拍の起源に一致して異常電位(=伝導障害)が認められるが,特に心室瘤付近に多いこと,左室だけでなく右室まで認められること,房室ブロック合併例では,His近傍に異常電位を認めることが明らかとなった.病期との関連では,房室ブロックは急性期に多く認められ,ステロイド治療によってブロック改善が認められる例が認められるが,心室頻拍は心機能低下例が多く,病期の急性期には少なく,ステロイドへの反応性に乏しいことがわかった.多施設アンケートの結果(n =932)では535名(57.4%)に,ペースメーカ(n =296)もしくは植込み型除細動器(ICD,n =150)が植えこまれ,多くの症例で伝導障害に基づく不整脈の発生が多いことがわかった.さらに詳細アンケートが得られた170名の検討では,初期病変として房室ブロックの頻度が高く,ペースメーカを植えこまれている症例が多いこと,約半数の症例で,ICD作動による致死的イベントの治療が行われていることがわかった.

著者関連情報
© 2011 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top