2012 年 23 巻 6 号 p. 594-598
(1)凝固XI因子は内因系で働くホモ2量体のセリンプロテアーゼ前駆体であり,IX因子を活性化する.
(2)XI因子の立体構造は,“cup(セリンプロテアーゼドメイン)& saucer(4個のアップルドメイン)”構造であり,活性化に伴いドメイン間に大きな空間的再編成が起こる.
(3)XI因子の2量体化は,(i)XI因子の細胞内における成熟,(ii)XI因子の活性化,(iii)XIa因子によるIX因子の活性化,に必要である可能性が高い.
(4)血小板の濃染顆粒から放出されるポリリン酸は,XII因子の活性化を通して凝固系とキニン系を活性化する.
(5)トロンビンによるXI因子の活性化は,XI因子欠損症患者の出血症を説明する.ポリリン酸と活性型V因子は,この活性化反応の補助因子として機能する.