日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
食事摂取量推定のための料理単位法の開発地域とは異なる集団への適用可能性
鬼頭 久美子石原 淳子君羅 満高地 リベカ細井 聖子石井 有里岩崎 基
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2012 年 59 巻 9 号 p. 700-711

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抄録

目的 料理単位法は,料理とその構成食品から成るデータベースによって,料理単位の成分表により対象者の食品群•栄養素等の摂取量を計算する食事調査方法である。料理データベースの開発地域内においては食品群•栄養素等の妥当性が確認されている。しかし,開発地域とは異なる集団への適用については検討されていない。そこで,本研究では,首都圏の集団への適用可能性について検討した。
方法 国立がん研究センターがん予防•検診研究センターの2004年~2006年の検診受診者のうち,首都圏在住の40から69歳の受診者から,性•年齢階級別に無作為に抽出し,参加依頼を行った。最終的に,参加希望者187人(参加受諾率20.7%)のうち,144人を解析対象とした。比較基準の方法として用いた週末を含む 4 日間の秤量法食事記録調査(秤量法)は,栄養士が対象者の記録を確認後,5 訂増補日本食品標準成分表に準じて,食品コードを付与し,重量換算を行った。また,料理単位法は別の栄養士によって,対象者が記入した料理名から料理データベースの料理コードを充当し,料理単位の成分表(東北地方の住民224人,1 日間の秤量法食事記録から作成)により食品群•栄養素等摂取量を推定した。4 日間の秤量法から算出された食品群•栄養素等推定摂取量との差,Pearson の相関係数および先行研究との比較により,適用可能性を検討した。
結果 料理名の88%が料理データベースの料理名などから充当可能であった。相関係数が0.6以上のものは,食品群では男性で12,女性で10食品群,栄養素等では男性で34,女性では27栄養素であった。食品群の一部で顕著な過大評価がみられ,栄養素等推定摂取量の多くで過小評価されやすい傾向が確認された。先行研究との妥当性の比較では,全体的に低くなる傾向が確認された。
結論 摂取量が推定された食品群•栄養素等の多くについて,相関係数が0.6以上であり,料理データベース開発地域とは異なる地域集団への適用可能性を示唆するものと考えられた。しかしながら,栄養素によっては,絶対値の摂取量推定に地域ごとのデータが必要であることが示唆された。

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© 2012 日本公衆衛生学会
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