日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
仮設住宅に居住する東日本大震災被災者における身体活動量の1年間の変化
村上 晴香吉村 英一髙田 和子西 信雄笠岡(坪山) 宜代横山 由香里八重樫 由美坂田 清美小林 誠一郎宮地 元彦
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キーワード: 災害, 身体活動量, 追跡調査
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2014 年 61 巻 2 号 p. 86-92

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抄録

目的 我々は,東日本大震災約 7 か月後の2011年10月に仮設住宅居住者70人を調査し,身体活動量が低いことを報告した。本研究は,2011年10月から2012年11月の約 1 年間における仮設住宅居住者の身体活動量の変化を把握することを目的に行った。
方法 2012年11月に「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査」(健康調査)に参加した岩手県釜石市 H 地区の仮設住宅居住者のうち,身体活動量調査に協力の得られた39人(男性10人,女性29人)を対象とした。このうち,2011年10月の身体活動量調査にも参加した31人を縦断的解析に用いた。2011年10月と2012年11月の身体活動量調査のいずれも,3 次元加速度計により健康調査日から 2 週間の身体活動量を評価した。
結果 2011年から2012年において,歩数の中央値は4,959(四分位範囲:2,910–6,029)歩/日から4,618(四分位範囲:3,007–7,123)歩/日に変化した。歩数が増加した者は18人(58%)であった。また中高強度身体活動量では2011年の13.3(7.7–22.4)メッツ•時/週から2012年の16.1(6.3–25.2)メッツ•時/週へと変化した。65歳未満(21人)と65歳以上(10人)に分けてみると,65歳未満において歩数が増加していた人は14人(67%)であったのに対し,65歳以上では 4 人(40%)のみであった。
結論 歩数の中央値は減少したものの,四分位範囲は増加しており,また中高強度身体活動に関しても増加していることから,集団としては増加傾向にあると言える。しかしながら,全国の平均歩数や岩手県の平均歩数と比較した場合,それらの値はまだまだ低く,今後の身体活動量増大のための支援が必要である。

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© 2014 日本公衆衛生学会
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