2012 年 68 巻 4 号 p. 238-250
本研究では,供用中の橋梁PC桁の横締め鋼棒を対象に,原理の異なる2つの非破壊試験法を併用し,シース内部のPCグラウト充填状況の評価を試みた.ここでは,まず,シース長手方向に対して打撃により弾性波を入力する方法(衝撃弾性波法)を適用し,得られた伝搬速度から,シース軸方向に渡っての平均的なグラウト充填状態の評価を試みた.続いて,励磁コイルからパルス状の磁界を発生させシースを加振する方法(電磁パルス法)による計測を,シース軸方向における複数位置で行い,受信波の最大振幅値により,各計測点直上のグラウト充填状況を把握した.さらに,これらの手法による評価結果の妥当性を検証するため,削孔を行った.その結果,いずれの非破壊試験による評価結果も実際のグラウト充填状況と相応の割合で一致していた.