日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
術後感染性心内膜炎による左室右房シャントで再手術を施行した両大血管右室起始症の1治験例
厚美 直孝松原 宗明保土田 健太郎寺田 正次斎藤 美香玉目 琢也知念 詩乃松岡 恵横山 晶一郎大木 寛生三浦 大澁谷 和彦
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2012 年 28 巻 4 号 p. 211-215

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抄録

症例は9カ月, 女児. 両大血管右室起始症(Fallot型)に対して根治術を施行し術直後の経過は良好であった. 術後6日に発熱し血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された. 抗菌薬により解熱したが, 術後15日に心エコーで心室中隔欠損(VSD)パッチに疣腫を認め感染性心内膜炎(infective endocarditis : IE)と診断した. VSDの遺残短絡を認めなかったため抗菌薬による治療を継続したが, 術後20日に右心不全と肝不全が急激に進行し心エコーで左室右房(LV-RA)シャントが確認された. 凝固系が破綻した状態での手術は出血のリスクが高いため, 持続的血液透析濾過と血漿交換を行い凝固能の改善後に再手術を施行した. 再手術はVSDパッチと右室流出路パッチを交換し三尖弁の形成を行った. 再手術後も感染の再燃がみられたが軽快し, 再手術後75日に退院した. 術後IEによって生じたLV-RAシャントが急性肝不全を来した症例の治験例として報告する.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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