木材学会誌
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カテゴリーIII
高圧水蒸気処理による完全平板展開竹材の物性
薩如拉中村 晋平葭谷 耕三棚橋 光彦
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2012 年 58 巻 4 号 p. 201-208

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抄録

竹材の有効利用法の拡大を実現する技術として,丸竹を円周方向に圧縮することで平板展開を可能とする技術が開発された。本研究では平板展開竹材の形状固定処理条件の確立およびこれらの物性の測定を行った。寸法安定性試験の結果,160℃16分間及び190℃8分間の高圧水蒸気処理によって,その形状を安定化させることに成功した。三点曲げ試験の結果,高温で処理することによって,曲げ強度の低下が大きくなる傾向が確認された。このことから,平板展開竹材の最適固定条件は160℃16分間の高圧水蒸気処理であると判断した。繊維方向の曲げ強度は内皮曲げが外皮曲げよりも高いが,繊維垂直方向の曲げ試験においては外皮曲げの方が2倍程度高くなる結果となった。また,平板展開竹材の表面硬度はスギ材の4.5倍の値を示した。以上より,平板展開竹材はその表面硬度を利用した表面被覆材等として応用できる可能性を有していることが明らかとなった。

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© 2012 一般社団法人 日本木材学会
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