肝臓
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症例報告
C型肝炎に対するインターフェロン治療著効15年後に肝細胞癌を発症した1例
渡部 笑麗小泉 洋平廣岡 昌史越智 裕紀多田 藤政石原 暢徳本 良雄阿部 雅則米永 吉邦藤山 泰二高田 泰次日浅 陽一恩地 森一
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2012 年 53 巻 11 号 p. 763-768

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抄録

症例は84歳,女性.平成7年にC型慢性肝炎にてインターフェロン(IFN)療法を施行され,ウイルス学的著効(sustained virological response,SVR)が得られ,以降肝機能も正常化していた.HCV-RNA陰性化後15年経過した平成23年1月の腹部超音波検査で肝S2に2.1 cmの占拠性病変がみられた.CT,MRI,CTA,CTAPでも同様の病変がみられ,肝細胞癌の診断で肝外側区域切除を施行した.C型慢性肝炎に対するIFN療法SVR後10年以上を経過して発症した肝細胞癌は検索しえた限りでは自験例を含め10例のみで,本症例は最長年であった.C型慢性肝炎に対する治療著効後も放置せず,肝細胞癌の長期間にわたるスクリーニングが必要であると考えられる.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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