症例は84歳,女性.平成7年にC型慢性肝炎にてインターフェロン(IFN)療法を施行され,ウイルス学的著効(sustained virological response,SVR)が得られ,以降肝機能も正常化していた.HCV-RNA陰性化後15年経過した平成23年1月の腹部超音波検査で肝S2に2.1 cmの占拠性病変がみられた.CT,MRI,CTA,CTAPでも同様の病変がみられ,肝細胞癌の診断で肝外側区域切除を施行した.C型慢性肝炎に対するIFN療法SVR後10年以上を経過して発症した肝細胞癌は検索しえた限りでは自験例を含め10例のみで,本症例は最長年であった.C型慢性肝炎に対する治療著効後も放置せず,肝細胞癌の長期間にわたるスクリーニングが必要であると考えられる.