2012 年 74 巻 3 号 p. 293-300
島根大学附属病院を含む島根県下6医療施設を受診した慢性蕁麻疹患者で,ロラタジン(クラリチン®)以外の第二世代抗ヒスタミン薬服用にて効果不十分であった18例の慢性蕁麻疹患者に対し,ロラタジンを投与し,その臨床的有用性を蕁麻疹活動性スコア(Urticaria Activity Score:UAS),Visual Analogue Scale(VAS),および,Dermatology Life Quality Index(DLQI)により解析した。ロラタジンを通常用量(10mg/day)で2週間投与後,重症度レベル2以下の12例は,同条件での投与をさらに2週間継続した。2週後に重症度3以上であった6例は,ロラタジンを増量投与(20mg/day)し,さらに2週間経過を観察した。UASおよびVASは,ロラタジン投与4週後および最終評価時において有意な低下がみられた。DLQIの総合得点はロラタジン投与4週後に有意に改善した。ロラタジン投与4週後,かゆみを発現しない症例が増加し,2時間以上のかゆみを呈する症例は無くなった。これらのことから,ロラタジン以外の第二世代抗ヒスタミン薬で効果不十分であった慢性蕁麻疹患者に対し,ロラタジンへの切り替えは有用であることが示唆された。