日本薬理学雑誌
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実験技術
精製飼料D10001飼育による生体の自家蛍光軽減効果のIn vivo蛍光イメージングにおける有用性
伏木 洋司早川 芳弘
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2009 年 134 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

In vivoにおける蛍光イメージングは測定機器の機能向上や試薬・プローブの開発により技術的な進歩を遂げ,薬理研究においてもその応用が期待できる.特に組織透過性の高い近赤外領域の波長域を持つ蛍光プローブは生体内部を非侵襲的・リアルタイムにイメージングするための非常に強力なツールとして期待されているが,一方で近赤外領域においては試験動物の腹部に食餌由来の強い自家蛍光がin vivo蛍光イメージングの妨げとなることが知られている.そこで我々は一般的な飼育繁殖用飼料とは異なり,精製飼料においては近赤外領域の蛍光成分が含まれていないことから,そのin vivo蛍光イメージングでの食餌性自家蛍光の低減効果について検討を行った.通常の飼育繁殖用飼料(穀物由来)で飼育されたマウス腹部における自家蛍光は近赤外領域において非常に強いことを確認した.さらに穀物由来の飼料からは近赤外領域において強い蛍光が認められたが,精製飼料中には同様の蛍光スペクトルはほとんど検出されなかった.さらに通常の飼育繁殖用飼料での飼育から,精製飼料でマウスを飼育する条件に変更する事でin vivo蛍光イメージングでの近赤外領域における食餌性の自家蛍光を大きく軽減させることが示された.これらの結果から,通常の穀物由来の飼料に代わり,蛍光原因物質を含まない精製飼料での被検動物の飼育は生体からの自家蛍光を低減させることができることから,近赤外領域での蛍光イメージングを行なう際に安定したイメージングデータを取得する方法として非常に有用であると考える.

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© 2009 公益社団法人 日本薬理学会
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