水文・水資源学会誌
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原著論文
2001年筑波大学陸域環境研究センター(TERC)における乱流計測機集中観測:機器比較と校正による誤差の解析
石田 祐宣松島 大樋口 篤志檜山 哲哉戸田 求浅沼 順玉川 一郎宮崎 真田中 賢治杉田 倫明永井 秀幸田中 久則飯田 真一小林 菜花子
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2004 年 17 巻 1 号 p. 43-60

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抄録

計測機種の違いによる乱流フラックスの誤差を評価するため,植生活動が活発で潜熱輸送量が大きい2001年5月14日~6月1日に筑波大学陸域環境研究センター(TERC)の観測圃場(草地)において乱流計測機の相互比較観測を行った.まず,赤外線カメラによって測定された地表面温度分布を測定し,加えてfootprint解析を行い,3m離れた2点の超音波風速温度計による顕熱フラックスとそれらのfootprintの地表面温度との対応関係を風向別に調べた.その結果,第1近似として両者の有意な相関は見られなかったので,風上地表面が一様である前提で乱流変動量の標準偏差と共分散(フラックス)を用いて比較を行った.
超音波風速温度計(DA-600, GILL-R3, ATI-SATI)に関しては全ての計測機間で出力特性が良く一致した.一方,水蒸気/CO2変動計については,特にLI-7500やOP2のデータが安定しており,湿度温度計などに対して平均値同士の簡便な再校正を施せば誤差を減らすことができた.計測機の違いによるフラックスの過小評価は見られなかったが,ダイナミックキャリブレーションを行う上で,校正を行う帯域において相関係数が低い場合,フラックスの過小評価を招く可能性が高いことが示唆された.

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© 2004 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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