2010 年 66 巻 2 号 p. 217-222
粒子法は複雑な自由表面の変化の追跡に適していることから,水工学分野でも有用性が示され,海岸工学においては数値波動水槽への応用も進められている.しかし計算負荷が高いため,ハードウェアへの相応の投資が必要となり,これが一般利用の障害となっている.ところで,画像処理目的に開発されてきたGPUを,一般的な学術演算の高速化に利用する取り組みが最近活発となっている.本研究では,MPS法を高速化する手段のひとつとして,CUDAによるGPU併用コードを開発した.高速化を達成するための留意点を整理し,MPS法計算コード固有の特性に適合するように移植を行った.メモリ配置の工夫に加えて,計算のコアとなる近傍粒子探索や圧力のPoisson方程式の収束計算については,GPU計算を効率化するため,特に綿密に検討した.