ウイルス
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LAMP法の原理
—遺伝子の簡易・迅速な増幅法—
牛久保 宏
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2004 年 54 巻 1 号 p. 107-112

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抄録

遺伝子検査は感染症診断をはじめとして, さまざまな分野で利用されている. しかし, 実際の検査に十分に広く普及しているとはいえない. これは煩雑な操作, 高コストが主な要因となっている. 我々は, 従来の遺伝子増幅法代わる簡易, 迅速な増幅法としてLAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification) 法を開発した. LAMP法には (1) 全ての反応が等温で進行する, (2) 増幅効率が極めて高く, 大量の増幅産物を得ることができる, (3) 極めて高い特異性を持つなどの特徴を有す. また, 標準の増幅時間は1時間であるが, 新たなループプライマーを追加する迅速法により, 30分以内の増幅が可能となった. 更に, 検出においては, 増幅反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムの白濁を目視で確認することにより, 検出のための試薬・機器を使用せずに標的遺伝子の有無を判定することもできる. これらの特長を組み合わせることで, LAMP法は臨床現場での遺伝子検査, あるいは食品, 環境分野での迅速検査が実現可能であり, その他様々な領域での遺伝子検査に展開できるものと考える.

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© 2004 日本ウイルス学会
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