2004 年 54 巻 2 号 p. 161-167
ウイルス感染に対する生体防御において, 自然免疫は感染初期の速やかな防御機構として重要な役割を担っている. 細胞は, ウイルス感染を複数の方法で検知して自然免疫系を誘導するが, ウイルス感染細胞内においては, ウイルスの複製によって細胞質にできる二重鎖RNAがインデューサーとなり, I型インターフェロン遺伝子などの発現が誘導され, 細胞内に抗ウイルス活性がもたらされる. 最近, 著者らはこの細胞内二重鎖RNAを介したシグナルに関与する新規シグナル分子として RIG-I を同定することに成功した. 本稿では, 自然免疫におけるRIG-Iの機能を中心に解説する.