ウイルス
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特集
KSHVと発がん
藤室 雅弘
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2006 年 56 巻 2 号 p. 209-218

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抄録

 カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は,AIDS関連のカポジ肉腫や原発性体腔液性リンパ腫,キャッスルマン病において高頻度に検出される.さらに,KSHV遺伝子がコードする遺伝子産物は細胞増殖亢進,抗アポトーシス,トランスフォーム活性を有するものが多く,KSHVと発がんとの深い関連が明らかにされている.細胞内シグナル伝達は,正常の細胞にとって細胞増殖,分化,発生に必須の機構である.KSHVは宿主のシグナル伝達をうまく利用し,ウイルスにとっての好環境を細胞内で構築する.本稿ではKSHVにより標的とされるWntシグナルやNotchシグナルに焦点を当て,ウイルス蛋白質による細胞性シグナル伝達の模倣(mimicry)や操作(manipulation)とそのアウトプット(発がんに関わる機能やウイルスのライフサイクルの制御)について解説する.

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© 2006 日本ウイルス学会
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