ウイルス
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総説
生きた細胞におけるウイルスの可視化
川口 寧
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2008 年 58 巻 2 号 p. 117-124

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抄録

 ウイルスの定義の1つとして,「ウイルス粒子は極めて微小である.よって,光学顕微鏡で観察することができない.」という記述がウイルス学の教科書にはあった.しかし,近年の光学顕微鏡の技術的進歩,また,様々な蛍光蛋白質および蛍光物質の開発は,生きた細胞内のウイルス粒子を光学顕微鏡で観察することを可能とした.これらの新しいテクノロジーを利用して,ウイルス粒子成熟過程の時空間的な解析が可能となり,ダイナミックなウイルス増殖過程の実体が次第に明らかにされつつある.本稿では,単純ヘルペスウイルス1型のウイルス粒子可視化技術およびそれを利用したウイルス粒子成熟過程の解明について,我々の研究で得られた知見を含め解説する.

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© 2008 日本ウイルス学会
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