ウイルス
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総説
ウイルス感染におけるインフラマゾーム
一戸 猛志岩崎 明子
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2009 年 59 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

 NOD受容体(NOD-like receptors)は,微生物モチーフと危険シグナルを認識し,自然免疫応答に関わる細胞内パターン認識受容体ファミリーである.インフラマゾームは,NLRs,アダプタータンパク質とpro-caspase-1からなる巨大タンパク質複合体で,caspase-1を活性化して,炎症誘発性サイトカイン(IL-1β, IL-18, IL-33)のプロセシングと分泌,細菌によって誘導される細胞死(pyroptosis)を制御する.さまざまなNLRsからなるインフラマゾームの中でも,特にNLRP3インフラマゾームは多くの刺激によって活性化される.最近の研究から,ある特定のウイルスもNLRP3インフラマゾームを活性化することが明らかとなってきた.そこで本稿では,さまざまな刺激によるNLRP3インフラマゾーム活性化メカニズムを最新の知見を中心に概説する.さらに我々の研究で得られた知見を含め,インフルエンザウイルスに対する獲得免疫誘導におけるインフラマゾームの役割について考察する.

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© 2009 日本ウイルス学会
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