2012 年 69 巻 3 号 p. 122-128
染色体末端の DNA を合成する酵素テロメラーゼは,細胞老化・ガン化に深く関与しており,再生医療の分野においても近年注目を集めている.また,テロメラーゼを高い感度で検出することによって,細胞老化メカニズムのさらなる解明や早期ガンの発見が可能になるものと期待されている.本研究では,表面プラズモン共鳴(SPR)センサー上で,テロメラーゼ活性によるテロメア DNA の G-Quartet(G4)への構造変化を認識し,高分子微粒子によってそのシグナルを増幅させることで,テロメラーゼを高感度検出する方法について検討を行った.高分子微粒子に G4-DNA に結合するバインダー分子を複合化させることで,G4-DNA のシグナルを約 760 倍増幅した.その結果,テロメラーゼの検出限界を,微粒子を用いない場合に比べて,150 倍向上させることが可能となり,検体は細胞 1 個以下と極めて少ない量からでもテロメラーゼを検出することができた.