2009 年 24 巻 6 号 p. 827-831
〔目的〕本研究の目的はバランス能力評価として用いられるテストとKinzeyらによって1998年に報告されたstar excursion balance test(SEBT)の相関関係を明らかにすることを目的に行った。〔対象〕健康な中高齢者17名(男性13名,女性4名,平均年齢62.8±6.2歳)を対象とした。〔方法〕我々は10 m歩行や30秒間椅子立ち上がりテスト,開眼および閉眼片脚立位保持時間を測定した。加えてSEBTを実施した。〔結果〕SEBTと10 m歩行時間,および開眼片脚立位保持時間には有意な相関は認められなかった。SEBTとCS-30には,SEBTの全方向と有意な正の相関が認められ,SEBTと閉眼片脚立位保持時間ではSEBTのPL(postero-lateral;後外方),PO(posterior;後方),PM(postero-medial;後内方)への下肢リーチ距離と有意な正の相関が認められた。〔結語〕中高齢者のバランス能力の評価では後方や後斜方への下肢リーチ動作にも注目する必要があると考える。