日本畜産学会報
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飼料の放射線処理
II. 飼料原料の栄養価におよぼすγ線照射の影響
梅田 圭司川嶋 浩二佐藤 友太郎戸塚 耕二庄司 圭吾麻生 和衛
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1971 年 42 巻 12 号 p. 624-629

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抄録

マイロ,加熱処理脱脂大豆および生脱脂大豆にγ線を照射して,これら原料を含む飼料を調製しひなの発育におよぼす影響を調べた.その結果,
1. 照射マイロ区は,飼料の摂取量が増大し,飼料要求率が増大した.これは,γ線の照射によりマイロの代謝エネルギー価の低下したことによるものと考えられた.
2. 加熱処理脱脂大豆に照射した区は発育の低下および飼料要求率の増大がみられた,これは,放射線による蛋白質の栄養価の低下および飼料原料中の残存油脂の酸化による影響によるものと考えられた.
3. 生脱脂大豆に照射した区はひなの発育,代謝エネルギー価および蛋白質の消化率が改善された.これは,照射によりトリプシンインヒビターやその他生脱脂大豆中に含まれる有害成分が破壊されたためと考えられた.照射により,栄養価の低下は考えられるが,一方,有害成分の破壊されることにより,差し引きプラスの結果になったものと考えられた.
4. 照射により,生脱脂大豆中に含まれるトリプシンインヒビターの活性値は低下した.生脱脂大豆給与により,ひなの膵臓の肥大がみられたが,照射することにより,膵臓肥大の程度は軽減された.
5. 照射飼料を給与したすべてのひなを解剖し,内臓諸器官の観察を行なった.肉眼的にみて,照射に由来すると思われる変化は何ら認められなかった.

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