1999 年 12 巻 2 号 p. 89-96
加熱調理した挽肉摂取後に上昇するヒトの尿中変異原活性および腸内フローラに対する, ビフィズス菌発酵乳の飲用効果を検討した. 成人男子の被験者10名を用いて, 飲用前, 未発酵乳飲用中, ビフィズス菌発酵乳飲用中および飲用後に加熱挽肉を摂取し, 尿中変異原活性をエイムズSalmonellaテストで測定した. ビフィズス菌発酵乳飲用中の尿中変異原活性は, 飲用前, 飲用後に比較して有意な低下が認められた (p<0.05). 一方, 未発酵乳飲用中の尿中変異原活性は, 飲用後との間にのみ有意な低下を認あた (p<0.05). 被験者の大便フローラを測定したところ, 投与ビフィズス菌であるBifidobacterium breveヤクルト株およびB. bifidumヤクルト株が, それぞれ7.65±0.41および8.41±0.36 (log10CFU, 平均値±SD/大便1g湿重量) 回収された. また, ビフィズス菌発酵乳飲用時には, 飲用前および飲用後に比較してLactobacillusが有意に増加した (p<0.001およびp<0.002). 一方, Enterobacteriacoaeはビフィズス菌発酵乳飲用中および未発酵乳飲用中に菌数の減少を認あた (p<0.01). これらの結果から, ビフィズス菌発酵乳の飲用は, 食生活における加熱焦げ肉の摂取によって生じる発癌リスクの低減に有用な方法であることが示唆された.