日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
実用規模におけるタマネギの放射線処理と線量分布
亀山 研二高野 博幸梅田 圭司青木 章平
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1975 年 22 巻 9 号 p. 454-457

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抄録

タマネギの実用照射の際の参考にする目的で,タマネギを大型コンテナに詰め,コバルト-60γ線で照射した。照射は線源とコンテナとの距離を3.5m, 4.5mおよび5.5mにし,コンテナ内の線量分布を鉄線量計で測定した。その結果,両面照射した場合の均一度(最高線量/最低線量)は3.5mで2.70,4.5mで2.34,5.5mで2.19となった。そこでタマネギの許可最高線量を10Kradと想定した場合,発芽防止最少線量は約3Kradなので実用化の場合許容される均一度は3.3となる。このことは3.5mの均一度では,タマネギの密度に変動があることを考えると,余裕のある値とはいえない。
そこで月1万トンのタマネギを処理するのに現在すでに実用化しているジャガイモ用のコンテナおよび照射施設を使った場合と,線源から4.5mの位置に1m3のコンテナを使用した場合とについて,均一度から必要線源量を算出した。その結果,前者の場合,Co 60線源は174Kci必要で照射線量は3~6.6Kradの範囲で均一照射が可能である。また後者の場合202Kci必要で,照射線量は3~7Kradの範囲で均一照射が可能であるといえる。

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