日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
ガラクトオリゴ糖の難消化性の検討
長南 治柴原(曽根) 春恵高橋 理恵池田 雅和菊地(早川) 弘子石川 文保木村 一雅松本 圭介
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 51 巻 1 号 p. 28-33

詳細
抄録

Sporobolomyces singularis菌体およびKluyvermyces lactis由来のβ-galactosidaseを用い生成したガラクトオリゴ糖(GOS)を含む液糖の消化性を調べるために,健常人16名を用い,呼気水素ガス濃度測定試験を行った.GOS摂取群の呼気水素ガス濃度は対照群に比べ有意な増加が認められた.このことより,本混合液糖中に含まれるGOSは難消化性であることが示唆された.
さらに,GOSの難消化性成分を明らかにするため,GOSの鎖長により2糖,3糖,4糖画分をそれぞれHPLCにて分取し,画分ごとに消化酵素に対する耐性試験を行った.ヒト唾液またはブタ膵臓α-アミラーゼならびに人工胃液による消化試験では,各画分とも分解はみられなかったが,ラット小腸アセトン粉末により,2糖画分のわずかな分解が認められた.
以上のことから,今回GOS含有液糖摂取により認められた呼気中水素ガス濃度の増加は,含有されるGOSの3糖,4糖画分および一部の2糖画分が小腸の消化酵素による分解を受けることなく大腸に到達し,腸内細菌により資化された結果と考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top