Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
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時間差分に基づくソフトセンサー手法に関する考察および時間差分間隔の検討
金子 弘昌船津 公人
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2012 年 13 巻 p. 29-43

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抄録

化学プラントにおいては、測定困難なプロセス変数を推定する手法としてソフトセンサーが広く用いられている。しかし、ソフトセンサーモデルは化学プラントの運転状態の変化や触媒性能の変化、機器や配管への汚れ付着等により予測性能が劣化してしまう。このモデル劣化への対策の一つとしてプロセス変数の時間差分を用いて構築する時間差分モデルが提案されているが、時間差分モデルに関して十分に議論されているとはいえない。そこで本研究では、データのノイズおよび分散、プロセス変数の自己相関、モデルの精度等の観点から時間差分モデルに関する考察を行った。そして、時間差分モデルの性能について決定係数、自己相関、信号対雑音比を踏まえて定式化した。導入した式については、数値シミュレーションデータを用いて確認を行った。さらに実際の蒸留塔を模倣したダイナミックシミュレーションを行い、時間差分モデルの予測性能と時間差分間隔を検討した。観測可能な外乱および非観測外乱を考慮して発生させたデータを解析することで、適切に時間差分間隔を設定することでモデルの予測性能が向上することを確認した。

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© 2012 日本化学会
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