臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
短報
髄膜炎をともなわず痙攣にて発症したFusobacterium necrophorum脳膿瘍の1例
下畑 光輝成瀬 聡川崎 聡渡部 裕美子小山 京伊藤 靖田中 一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 52 巻 6 号 p. 429-432

詳細
抄録

元来健常で頭痛や発熱を自覚したことはない78歳男性が,痙攣発作を生じた.頭部MRIで脳膿瘍をうたがわせる所見をみとめ,抗痙攣薬,抗菌剤およびステロイドを投与したところ痙攣は消失,意識清明となり,以後無症状で経過した.病変を穿刺吸引,培養しFusobacterium necrophorumを同定した.適切な抗菌薬の投与により膿瘍は消失した.Fusobacterium属は口腔内,上気道に常在するグラム陰性嫌気性桿菌であるが,まれに健常者にも脳膿瘍を形成することがあり,起因菌として認識する必要がある.

著者関連情報
© 2012 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top