日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
小児特発性膜性腎症9例における治療と臨床経過
青木 孝浩平本 龍吾江口 広宣松本 真輔小森 功夫秋草 文四郎
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2011 年 24 巻 2 号 p. 175-178

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抄録

 当院では1997年1月から2010年6月に腎生検にて確定診断された小児特発性膜性腎症9例を経験した。当院では尿蛋白1g/day以上を呈した症例でまずステロイド治療を行う方針としている。その治療と臨床経過を後方視的に検討した。3例が尿蛋白1g/day以上で,うち1例がネフローゼ症候群の診断基準を満たした。その3例で2~3か月間のステロイド投与を行い,治療開始から2か月で尿蛋白が消失した。他6例はジピリダモールやACE阻害薬,ARBのみにより経過観察され,全例で寛解を認めたが,尿蛋白消失まで5か月から7年3か月を要した。2か月間のステロイド治療により寛解までの期間を短縮させることが期待できると思われた。

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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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