日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性脾破裂の1例
塩澤 幹雄巷野 佳彦安田 寿彦安田 是和
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キーワード: 特発性脾破裂
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2012 年 73 巻 4 号 p. 971-975

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抄録

腹部鈍的外傷の際に脾臓は損傷されやすい臓器の一つである.また非外傷性の脾破裂も報告されているが,その多くは何らかの病態が脾臓に存在している.今回われわれは正常脾に認められた極めてまれな特発性脾破裂の1例を報告する.症例は39歳の男性,突然の左側腹部痛を自覚し近医を受診し,筋性防御,腹水貯留を認めたため当院を紹介された.受診5時間後の造影腹部CTでは受診直後の単純CTと比較し,脾臓周囲の出血が増加したため緊急に開腹脾摘術を施行した.開腹所見では脾臓と周囲の癒着は無く,脾門部に凝血塊を認めるのみであった.病理所見では被膜破裂があり組織に広範な出血を認めたが腫瘍性変化は認めなかった.術後の精査では血液疾患などの合併もなく,ウィルス感染も否定的であった.外傷の既往がなく,脾臓に影響する病態も病理学的検索で否定され,特発性脾破裂と考えられた.文献的考察を加え特発性脾破裂を報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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