2012 年 56 巻 10 号 p. 697-702
金属粉末の積層造形と造形物表面の切削加工によって得られる金型は,3次元CADで設計された冷却用水管を自由に配置できる特長を有し,射出成形時のサイクルタイム短縮が実現されている.しかしながら,オーバーハング部である水管上面は原理上切削できない課題を有していた.本研究では,金型内部の冷却用水管について,水管内に遊離砥粒を流動させることで仕上げ加工する方法を提案している.内面上にらせん状の表面突起を付与したとき,曲率を有した水管の内部流れを解析すると共に,各条件が内面性状に与える影響について調べている.実験の結果,表面突起を付加することで水管の内部流れが乱流となり,突起のない水管と比較して著しく内面性状を改善することができた.また,突起のない水管では難しかった曲線内側の面上も効率的に加工することができた.さらに,同手法が既存金型の水管面上の錆を除去することにも効果的であることがわかった.