2012 年 68 巻 1 号 p. 7-20
幌延深地層研究所にて新第三紀堆積岩に施工中の東立坑(内径6.5m)の深度約220mを対象として,ショートステップ工法における覆工コンクリートと鋼製リング支保工の応力の変化,分布および発達機構を,現場計測と数値解析によって分析した.現場計測では,支保部材の初期地圧の水平面内の主応力方向の縦断面内に複数個の計器を設置し,応力計測を行った.数値解析では,立坑の施工手順を詳細に再現した三次元逐次掘削解析を実施した.その結果,覆工コンクリート内には,初期地圧の水平面内の異方性と深度方向の応力再配分の程度の差によって,10MPa以上の円周方向応力の差が生じることや,覆工コンクリートは,水平面内にて最小主応力方向を長軸とする楕円形で,上側に比べて下側がすぼむようなすり鉢状の変形モードを呈すことを明らかにした.