2012 年 27 巻 2 号 p. 175-184
1997年4月から2010年12月までに当センターで経験した浸潤性膵管癌切除例167例のうち内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;NET)と膵管癌(ductal cell carcinoma;DC)の合併2例,併存1例を対象として,NET,DCの占拠部位と腫瘍径,切除標本肉眼所見と病理学的所見,臨床像,画像所見について検討を行った.症例1,2はNETとDCが離れて存在し(合併),症例3はひとつの病変内に混在していた(併存).症例1,2のNETはともにNeuroendocrine tumor G1であり,DCはともにpStage IVaであった.症例3は腫瘍全体の15%でNET成分を認め,pStage IIIであった.症例1,2ではともにNETが頭側に存在し,NETの悪性度は低かった.ひとつの病変のみにとらわれず,合併例の存在を念頭に置き精査を行うことが重要である.