2012 年 27 巻 6 号 p. 755-761
膵石を伴う慢性膵炎症例では発熱や腹痛と炎症反応上昇を認め,ERCPにて膿性膵液を認める症例が存在する.この病態を我々は急性閉塞性化膿性胆管炎に準じ急性閉塞性化膿性膵管炎と定義した.同症例を6例経験した.全ての症例において,膿性膵液を内視鏡的に確認し,培養しえた5例において消化管常在菌を認めた.治療に関しては敗血症に至った症例も存在したが,経鼻膵管ドレナージカテーテルにて5例改善を認めた.1例はカテーテル留置困難のため外科手術となった.慢性膵炎急性増悪の病態の一つとして急性閉塞性化膿性膵管炎があると考えられ,膵石を伴う慢性膵炎の発熱には,この病態も疑い,早期に膵管ドレナージを行う必要がある.