胆道
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肝門部に発生し胆管との交通を認めた胆管嚢胞腺癌の1例
牧野 勇谷 卓高村 博之中川原 寿俊田島 秀浩大西 一朗北川 裕久伏田 幸夫藤村 隆西村 元一萱原 正都太田 哲生湊 宏蒲田 敏文松井 修清水 康一
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2007 年 21 巻 5 号 p. 677-684

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抄録

症例は52歳の女性,褐色尿を主訴として来院した,画像診断にて肝門部に2つの嚢胞性病変を認め,一方は主に肝内側区域に存在し肝門部で左右のグリソン鞘を圧排する単房性嚢胞性病変で,他方はこの病変と接して肝外に突出し内部に壁在結節を伴う多房性嚢胞性病変であった.後者の病変は肝外胆管に接し,これを圧排しており,肝外胆管が狭窄を呈していた.拡大肝左葉切除,肝外胆管切除にて切除しえた.切除標本では肝内側区域に存在する単房性嚢胞性腫瘍と,これと連続して肝外に突出し総肝管を圧排する多房性嚢胞性腫瘍を認め,後者の嚢胞壁には乳頭状腫瘍が存在した.病理組織所見では2つの嚢胞性病変は一連の腫瘍と考えられ,現行の規約に従い胆管嚢胞腺癌と診断した.一方で,この嚢胞性腫瘍は標本造影で胆管との交通が証明され,組織学的に卵巣様間質を認めないことから,近年提唱されている胆管内乳頭状腫瘍に分類できると考えられた.

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© 日本胆道学会
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