我が国でASRにより損傷を受けた構造物が確認されて以来, 各種のASR抑制対策が確立されたが, その効果は十分に検証されたわけではない。最近では, ASR膨張が原因と考えられる鉄筋破断までも確認されている。著者らは, 長年にわたりASR損傷橋脚に対する補修・補強工法のASR抑制効果に関する一連の調査・研究を行ってきた。本報告は, ASR対策工法として樹脂塗装工法, 鋼板巻き立て工法, PC鋼材巻き立て工法に注目し, 大型RC試験体の長期暴露試験, 実橋脚での補強後の追跡調査に基づき, 各工法のASR抑制効果, 特徴, 今後の課題などを考察したものである。