2008 年 28 巻 4 号 p. 561-571
膵疾患を正確に診断するためには,後腹膜腔ならびに膵と腸管(大腸,小腸)を結ぶ間膜(結腸間膜,腸間膜)の解剖学的理解が必要である。単純CTでも急性膵炎の診断は十分可能であるが,重症度や合併症の評価には造影 CTが不可欠である。また,時に膵癌が急性膵炎の原因となることがあるが,単純 CTのみでは膵癌の検出は困難なことが多く,造影ダイナミックCTが必要である。MRI(以下,MRCP)は胆道結石の診断能が高く,急性膵炎に随伴する出血性脂肪壊死,仮性.胞内出血などの出血性変化の評価にも有用性が高い。MRCPは造影剤を使用することなく,胆管膵管の全体像を描出できるので,膵炎の原因精査(胆管膵管奇型)にも推奨される。