2008 年 37 巻 4 号 p. 230-233
症例は66歳,女性.9年前抗リン脂質抗体症候群,特発性血小板減少性紫斑病を指摘され,以後血液内科で通院治療を継続していた.今回心不全症状が出現,精査の結果III/IV度の大動脈弁閉鎖不全症と診断された.血液内科医師と連携をとり十分な準備と計画をたて心臓外科手術:大動脈弁置換術を施行した.術前には血漿交換とステロイドパルス療法を施行,また腎機能障害の増悪に対し透析をおこなった.術後は早期より抗凝固療法とステロイドの内服を行い,抗リン脂質抗体症候群の増悪を認めることが無く順調に経過した.