目的: 子宮頸がん検診に従来の細胞診に HPV 検査を導入することの有用性を検討した.
方法: ベセスダシステム (2001) で意義不明の異型扁平上皮細胞を ASC と分類している. 平成 16∼18 年の 3 年間の金沢市民を対象にした行政の子宮頸がん検診において, ASC (ASC-US と ASC-H) 例にハイブリッドキャプチャー 2 (HC2) で高リスク型 HPV の検査を併用し, HPV 陽性例と軽度異形性以上の病変を推定した例にコルポスコープ下の組織検査を行い, HPV 検査導入前の 3 年間と比較検討した.
成績: 3 年間の金沢市の子宮頸がん検診受診者 3 万 3790 人中 ASC は 1565 人 (4.6%) で, そのうち 221 例 (14.1%) が HPV 陽性であった. 221 例中精検受診者は 169 例 (76.5%) で, そのなかから CIN2 以上が 27 例検出された. 浸潤がんは認めなかった.
結論: 細胞診で判定の難しい ASC 例に対し, HPV 検査を導入することによって感度が高められ, 見逃しを減らすと同時に, 不必要な生検を省くことができると考えられる.