2006 年 50 巻 1 号 p. 34-38
超砥粒軸付き砥石の製造における軸取り付け用の穴加工は,硬度の影響から焼成後に行うことが困難であるため,焼成前の生原石に下穴加工を行い,焼成後に仕上げ加工するのが一般的である.しかしながら,この加工法では下穴が焼成収縮の影響を受けるため,粒度や気孔率,結合材等の品質ごとに調整が必要となるなど課題が多い.そこで,本研究では超砥粒軸付き砥石の生産性向上のため,レーザによる超砥粒砥石への穴加工を提案し,ドリル加工との比較を行いながらその有効性について調べた.その結果,レーザによる加工穴は真円度,加工穴断面形状共に,焼成前にドリル加工を行う従来手法より精度が良いことがわかった.また,レーザ切断面表層の熱変質層が軸の取り付け強度に与える影響はなく,軸取り付け時の砥石内部への接着剤の浸透を抑える働きがあることがわかった.さらに,従来手法と比較して加工工程が削減できることから,代替加工法としてレーザによる穴開け加工が十分適用可能であることを示した.