本研究では, ホーニング音が作業者に与える影響について, ホーニング音環境下において内田クレペリン精神検査を行うことにより, 作業能率に及ぼす影響を定量的に調べた. その時の作業者の脳波を測定し, 作業者心理に及ぼす影響を把握した. 得られた結果をまとめると次のようになる. 高音圧のホーニング音環境下においても, 作業曲線の異常は定型崩れにとどまり, 被験者の心理状態が極めて異常な状態に陥ることはなかった. ホーニング音の心理的影響と作業能率への影響は, 主に「初頭努力の欠如」が現れ, 作業に対する取りかかりが悪くなった. ホーニング音が周期性のある騒音であることから, 時間の経過に伴いホーニング音の心理的影響は小さくなり, このため後期におけるその影響は小さかった. ホーニング音の影響の度合いには個人差があるが, 誤謬の過多などを生じるほどの大きな影響を及ぼすことはなかった.