日本泌尿器科学会雑誌
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ヒトセミノーマモデルを用いたレーザー療法におけるパルス波と連続波Nd
YAGレーザーの有用性の比較に関する実験的検討
山本 肇打林 忠雄並木 幹夫
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1997 年 88 巻 10 号 p. 885-891

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抄録

(背景と目的) ヒト精巣セミノーマ移植腫瘍に対し, 共通の90度側射ファイバーを使用し, パルス波と連続波発振Nd: YAGレーザー光による温熱効果と組織内温度上昇について両レーザー間で比較検討した.
(対象と方法) 担癌マウスを仰臥位で固定し, 水没した腫瘍に対し側射ファイバー反射面より2mmの距離で固定照射を行った. 各群は5匹ずつとし, 照射出力, 時間は, 20W, 180秒照射群, 40W, 90秒および120秒照射群, 60W, 30秒, 60秒および90秒照射群とした. 照射終了後, 移植腫瘍の腫瘍割面像で, 凝固層の深さと幅を測定した. 照射時の組織内温度上昇は腫瘍表面より7, 10, 14mmの距離で両レーザー出力20W, 40Wおよび60Wにて90秒照射し, 経時的に温度測定を行った.
(結果と結論) 同エネルギー量3600J, 6群 (パルス波, 連続波: 20W, 180秒照射群, 40W, 90秒照射群, 60W, 60秒照射群) における比較検討でパルス波60W, 60秒照射群 (深さ, 幅, 仮想体積: 平均10.6mm, 12.7mm, 736mm3) がその他のいずれの群より凝固層の拡大を認めた. さらに組織内温度からも明らかにパルス波の良好な熱伝達性が証明された (パルス波60W: 腫瘍表面から7, 10, 14mmの位置でそれぞれ平均96, 77, 40℃).

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