1.4 厳格な原則に基づく構造化セマンティクス
エンティティを記述するメタデータは、DOI名の登録者によって、登録サービスを提供する登録機関(RA)に提供されます。メタデータは、INDECS(interoperability of data in e-commerce systems)プロジェクトから生まれた一連の原則を指針とする厳格なルールに従う必要があります。その目的は、DOI®システムにおけるメタデータの相互運用性とメタデータの自動統合を実現することです。
このセクションでは、DOIメタデータシステムの原則とツールを紹介します。詳細については、第4章 DOIメタデータを参照してください。
1.4.1 INDECSモデルの原則
DOI財団は、初期のINDECSフレームワークに資金を提供した組織のひとつであり、さらにさまざまな組織と連携して開発を続けてきました。DOI/INDECSプロジェクトの当初の課題は、企業が首尾一貫した単一の市場で創作物を取引できるように、電子知的財産権取引のための権利者間のジャンルに特定されない枠組み(フレームワーク)を作ることでした。
INDECSモデルでは、メタデータの項目は「2つのエンティティ間に存在すると主張する関係」と定義されています。この定義は、INDECSの活動の中心となる関係の重要性を強調しています。
INDECSモデルの原則は以下のとおりです。
- 一意識別
すべてのエンティティは、識別された名前空間内で一意に定義されなければならない。 - 機能的粒度
エンティティの区別が必要な場合は、いつでもエンティティを識別できること。 - 指定権限
メタデータの作成者は、その同一性について疑いなく識別されなくてはならない。 - アプリケーションの独立性
メタデータスキーマは、使用される技術に依存しないものでなければならない。 - 適切なアクセス
誰もが必要なメタデータにアクセスできる必要がある。この原則により、すべてのメタデータにすべての人がアクセス可能である必要はない。状況によっては、特定のユーザーがアクセスできないメタデータもある。
詳細については、INDECSフレームワークを参照してください。
1.4.2 標準メタデータ宣言
DOI名で識別されるすべてのエンティティに対して、以下の原則に従って標準メタデータ宣言を作成しなければなりません。
- 宣言には、DOIカーネルと呼ばれる最小限の必須メタデータが含まれている必要があります。このカーネルは可能な限り範囲を限定するように設計されており、DOIシステムによって識別可能なあらゆるエンティティに適用可能です。
- 追加メタデータを宣言できます。
他の登録機関(RA)とのメタデータの相互運用が必要な場合は、合意されたメタデータ交換スキーマに基づく必要があります。 - 宣言されたすべてのDOIメタデータは、すべてのデータ要素と許容される値を指定するデータディクショナリに基づいています。
DOIカーネルとデータディクショナリは、DOIカーネルスキーマによって規定されています。このスキーマは、必要な詳細レベルや粒度に拡張可能であり、中立的です(ビジネスや実装技術に依存しません)。これにより、RAは任意のメタデータスキーマも使用できるようになりますが、他の機関によって割り当てられたDOI名との意味的等価性(semantic equivalence)は確保されます。 - 用語は、任意のRAからの要求に応じて、DOIカーネルスキーマに追加されます。
- DOIカーネルスキーマは、RA間のデータ交換に必要なメタデータの統合と変換をサポートするためのマッピングを提供します。
図4にメタデータ作成フローを示します。対象物の登録者は、対象物を記述するメタデータを提供します。RAのメタデータサービスは、メタデータスキーマに従って、対応するメタデータ宣言を作成し、各々のDOI名に割り当てます。

詳しくは第4章 DOIメタデータを参照してください。