DOI® HANDBOOK

1.9 DOIシステムの設計機能としての永続性

  1. DOIハンドブック
  2. 第1章 DOIシステムの概説
  3. 1.9 DOIシステムの設計機能としての永続性

DOI情報の永続性は、DOI®システムの大きな目標であり、方針と協定を通じてDOIの社会基盤によって保証され、技術によって支えられています。

表1DOIシステムにおける永続性の考慮事項

永続性の側面 DOIシステムにおけるソリューション
対象物の所在地や所有権が変わった場合、または対象物がもはや存在しない場合のデータへのアクセスの永続性 DOI名解決の概念により、DOI名は情報(DOIレコード)に解決されますが、その情報(DOIレコード)は時間とともに変化する可能性がある(URL、オブジェクトの所有権など)一方、DOI名のエンティティへのマッピングは永続します。DOIレコードのデータを保守する責任は登録者にあります。
DOI名登録者は、DOI名で識別されるオブジェクトがもはや存在しない場合であっても、少なくとも、当該オブジェクトがもはや存在しない(no longer available)ことを知らせるレスポンス画面にDOI名を解決することができます。
登録機関(RA)が債務不履行に陥った場合のデータへのアクセスの永続性 登録機関会員制度では、RAが債務不履行に陥った場合に、適切な登録データ(レコード)の移管を徹底しDOI解決の継続を可能にすることを一定の義務として登録機関に課しています。DOI®財団の会員制度は、コミュニティが自身の現在のアプリケーションの利益を超えて長期的な永続性の確保に向けて協力する意志を有することが前提となっています。この前提が成立しない場合に備えて、割り当て済みDOI名の解決を持続するための代案もDOI協定に規定されています。
注:登録機関が消滅した場合、DOIの解決を通じて当該登録機関から提供されていた付加価値サービスをDOI財団が維持することは保証できません。そのようなサービスは、追加の素材・資料(例えば、メタデータのルックアップやワークフロー手順へのアクセス)を必要とする場合があります。とはいえ、DOI財団は、それらのサービスを他の機関に移管するか、自らそのサービスを維持するか、必要に応じて継続して提供できる第三者にサービスが移管されるよう最善を尽くします。その目的は、そのDOIレコードのユーザーのコミュニティが被る支障を最小限にとどめることです。
DOI財団が消滅した場合、または現在の技術的な実装の有効性を維持できなくなった場合のDOIシステムの永続性 DOI財団が消滅した場合にそなえ、システムを他の団体に移管する協定が成立しています。
DOI財団と技術サポートサービスプロバイダーとの協定では、万一現在の技術的な実装が終了したり有効性が維持できなくなったりした場合に、全てのDOIシステムのデータ、ライセンス、権利などをDOI財団に返還することになっています。
技術的基盤の永続性 DOIシステムはHandle®システム上にオーバーレイされたサーバーとサービスサイトのグローバルに分散された複数のサイトネットワークを使用しており、Handleシステム自体にも同様の分散サイトがあります。これらのサイトは、個々の登録機関の所在地のほかに、専門的なコロケーションホスティングサイトやバーチャル(クラウドコンピューティング)施設などにあり、年中無休で対応できるリソースや、停電等に対処するためのミラーリング装置などが整備されています。また、DOI財団はdoi.orgドメインが永続性のある技術的基盤の一部として運営されるよう徹底しており、ミラーリングとロードバランシングによりDOIプロキシへのHTTPSリクエストの最適な可用性を確保しています。
Handleシステムはシステムの継続性を保証することに尽力しているDONA財団によって管理されています。Handleシステムはオープンスタンダードなので、誰でもHandleサービスを構築/利用することができます。ソースコードとAPIは両方とも公開されています。