7.2 設計上の検討事項
柔軟性と拡張性は適切に設計されたDOI方式サービスの重要な特徴です。
柔軟性と拡張性に最も優れた方法は、軽量リダイレクトメカニズムとしてDOI®システムを使用し、識別子をしっかりと構造化されたデータに解決することです。この方法を用いれば、単一レベルのリダイレクトを超えるDOI関連サービスを提供できます。DOI登録機関は単にDOI名を解決して1つのURLを返すだけでなく、DOI名をコンテンツに関する複数の選択肢(例えば、書誌メタデータ)に結びつけるマルチプルレゾリューションサービスを提供できます。選択肢には特定のメタデータ表現を求めるリクエスト、または特定のコンテキストのみに使用可能なメタデータを求めるリクエストなどがあります。
開発者は、サービスによって提供される情報のすべてまたはほとんどをDOIシステム自体に配置してDOIシステムを主要なサービスプロバイダーとするか、必要な情報や機能を提供する1つ以上の外部サービスを指し示すことにDOIシステムを使用するかを選択できます。例えば、ユーザーが選択できるラベル付き選択肢のシンプルなメニューを表示するために必要なすべてのデータをDOIシステムに格納することもできますが、視覚化ツール用の大量の学術データや多数の画像ファイルを格納する外部サービスにリダイレクトするほうが、それらのデータをDOIシステムに格納するより望ましい場合もあります。
もうひとつの設計上の検討事項として、高品質の機械可読データを標準化された形式で格納、使用、共有するアプリケーションの開発があります。標準HTTPウェブプロトコルのコンテンツネゴシエーション機能を利用すれば、リンクトデータ(Linked Data:機械可読形式でデータを公開する周知のコンセプト)のベストプラクティスに準拠するDOIアプリケーションを設計できます。
注:HTTPよりHTTPSの使用を強く推奨します。
DOI構造化データを活用して複数のRAアプリケーションにわたって一貫性のあるサービスを作ることが奨励されます。可能な限りのコラボレーションが推奨されます。DOI財団に加入していない第三者のアプリケーション開発者にも、DOI構造化データを活用するサービス作りに参加することが推奨されます。
マルチプルレゾリューションとコンテンツネゴシエーションに基づくDOIアプリケーションサービスのサンプルについては第6章で説明しています。新しいサービスはいつでも作ることができます。質問はまでお送りください。